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読書メモ:ブランケンブルク(1971/1978)『自明性の喪失――分裂病の現象学』(木村敏・岡本進・島弘嗣共訳)みすず書房

更新日:8月2日


 破瓜型(解体型)統合失調症の本態は、自分にも他者にも生命にもこの世界にも親しみを持ちにくいこととし、これを「(自然な)自明性の喪失」と名付けたブランケンブルクの書。今回、たまたま必要があって読んだのだが、院生時代以来なので20年ぶりぐらいか。あの頃よりは面白く読めた気がする。


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 アンネ・ラウという20歳の女性の症例から、統合失調症における「自明性の喪失」がどのようなものであるのかを多面的に分析する。


 自明性を失うと生命に親しめ「ない」、他者との間が「ない」ゆえ間主観性が成立し「ない」、したがってコモン・センスが成り立た「ない」、というように、否定の形でしか存在を記せないのが自明性であり、経験論的にも超越論的にも”自分”を支えるようなものである。


 大きなものに根ざしつつ自分を分けて析出していくという点では、木村敏の存在構造論はもちろんだが、河合隼雄が『心理療法序説』において心理療法の一つの極みとして仄めかした自然(じねん)モデルを想起させるところがある。「コモン・センス」論としては中村雄二郎『共通感覚論』なども思い出す。そして、國分功一郎が哲学的主題として取り出した「中動態」を経由した我々にとっては、本書が発行された78年当時の読者とは異なる補助線を得ているのではないか。(もう少し身体に根ざした話として「自明性の喪失」は捉える必要があるとは思うが。)


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 ブランケンブルクは本書の訳者・木村敏と親交があり互いに影響を与え合っている。『身体の時間——<今>を生きるための精神病理学』の野間俊一は木村敏の弟子なので、はからずも木村敏祭りとなった昨今であった。



<参考文献>

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