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人の営みとささやかな祈り――Bunraku Summer Festival『チャップリンと文楽 まちの灯』
幟はためく国立文楽劇場前 大阪・日本橋にある国立文楽劇場で文楽を見てきました。演目は、「寿柱立万歳」と、チャップリンの同名映画を文楽に仕立てた「まちの灯」です。文楽はおよそ10年ぶり?以下、見慣れていない者の感想です。 *** チャップリンを文楽に。なんとなくイロモノ、キワモノっぽく聞こえますが、さにあらず。文楽の面白さも、チャップリンの人間描写力も、義太夫節の振動も、すべて味わえるいい作品でした。 チャップリンの作品を文楽作品へと書き直したのは、日本チャップリン協会会長の大野裕之(私と同世代の京大生には「劇団とっても便利」の人という方が通りがいいかも)。 「街の灯」はよく知られた映画ですのであらすじをご存じの方も多いかと思いますが、本上演ではあらすじはほぼ変えられておらず、舞台が明治維新前後の大坂になっているのと、それにふさわしい登場人物と意匠に変えられているところに妙味があるように思いました。(Wikipediaより映画「街の灯」のあらすじ) *** 私が本作を見て思い出したのは、最近読んだ五木寛之・横山剣『口笛を吹きながら夜を

心理臨床オフィス ポーポ
7月24日読了時間: 4分


大衆芸能(ポップカルチャー)としての歌舞伎の死――御名残五月大歌舞伎と大阪松竹座の閉館
大阪松竹座へ御名残五月大歌舞伎を見に行きました。昼の部と夜の部と一回ずつ。 ご存じの方も多いかと思いますが、大阪松竹座は5月26日をもって閉館となりました。その名残惜しさをこめた演目。 *** 私は歌舞伎には疎く、どちらかというと敬して遠ざけていたところがあったのですが、実際に見て、「なにこれすごい面白いじゃん!早く教えてよ!!」と言いたくなるような、大変楽しい体験でした。 演目は昼の部も夜の部も、時代物・世話物・所作事の3つ。時代物はサーカスのような派手な演出や身体能力に驚き、世話物では腹を抱えて笑い、所作事の美しさに見入る。『心中月夜星野屋』では舞台装置の美しさ第二幕の宵闇の橋!)にも本当に感じ入りました。 江戸の浮世絵(役者絵)の機能もよくわかって、私も思わずブロマイドを買って帰りました。見るたびに蘇る歌舞伎体験。 *** ところで、実際に歌舞伎を見に行ってわかったことがありました。松竹座の客、とにかくよく喋る!役者が出る度、家族関係を事細かに喋り、足拍子を鳴らせば「キレッキレや!」と大喜び。所作事では一緒に手を振る。ギャグのオチ

心理臨床オフィス ポーポ
6月1日読了時間: 3分


魔女、人間になる――映画『ハムネット』(ネタバレあり)
映画『ハムネット』 を見ました。 *** イギリスの田舎(ストラトフォード)に住む農家の娘がジェントリ階級の息子と結婚し、子どもが生まれる。夫は食い扶持を得るためにロンドンへ。残された母と長女、双子の次女・長男は父の帰りを楽しみに、草花に親しみながら暮らすのだが、一家を悲劇が襲う。子の一人が亡くなってしまうのだ。この悲劇がその後、家族に取らせた手段とはなにか。それが劇作家・シェイクスピアの作品「ハムレット」誕生につながる——。 主演女優のジェシー・バックリーがアカデミー賞を獲得したこともあり注目される本作ですが、家族のすれ違い・エディプス的葛藤と創造性の関係・母との分離・女性同士の連帯・ 演じることによる喪の作業 など様々なテーマが重層的に含まれる物語でした。 *** 中でも私が面白いなあと思ったのは、ジェシー・バックリー演ずるアグネス。鷹を操ったり薬草を得たり、村では”魔女の娘”と噂される存在です。アグネスの母も魔女と呼ばれており、おそらく出産にまつわる何かで命を失っています。アグネスは母のように魔女として振る舞い、母の言葉を復

心理臨床オフィス ポーポ
4月18日読了時間: 5分


誰にとっても人生は突然――映画『カーテンコールの灯(あかり)』
現在上映中の映画 『カーテンコールの灯』 は、打撃を受けた人生がどのように再生していくのかを丁寧に描いた作品です。 *** 建設作業員として働いている男性・ダンが主人公。彼は作業中に激昂してしまい、それをたまたま見かけた女性に声をかけられ、地域の小さな劇団に誘われます。一...

心理臨床オフィス ポーポ
2025年9月1日読了時間: 6分


心は分裂しスウィングする――木ノ下歌舞伎『勧進帳』
先日、京都芸術劇場・春秋座で木ノ下歌舞伎『勧進帳』を観てきました。お芝居というか舞台芸術全般に疎いので、楽しめるかどうかと心配しましたが、なんのなんの、とても心動かされる貴重な体験となりました。 *** 『勧進帳』は歌舞伎の演目として有名ですが、今回観たのは、木ノ下歌舞伎主...

心理臨床オフィス ポーポ
2023年11月18日読了時間: 4分
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